
スワンナプーム国際空港に降り立った瞬間に感じる、むっとするほどの熱気と蘭の花の香り。街へ出れば、トゥクトゥクのエンジン音と屋台から漂うガパオやスパイスの香ばしい匂いが混じり合い、旅人の五感を刺激します。「微笑みの国」タイは、いつ訪れても活気と温かさに満ちています。
しかし、久しぶりの海外旅行や初めてのタイ旅行となると、「円安の影響で物価はどうなっているの?」「現金はいくら持っていけばいい?」といった不安もよぎるのではないでしょうか。かつてのような「激安天国」のイメージだけで予算を組むと、現地で思わぬ出費に驚くかもしれません。
この記事では、2026年現在の最新情報を基に、3泊4日のリアルな予算目安から、現地で失敗を防ぐためのお金の使い分けまでを丁寧に解説します。初めてでも安心して楽しめるよう、賢い節約術やマナーも交えてご紹介しますので、ぜひ旅の計画にお役立てください。

タイ国政府観光庁が認める「タイランドスペシャリスト」の資格を持ち、渡航歴50回以上、現地滞在10年以上を誇る「まさよし」が、本記事を執筆しました。長年の経験と現地で得た生きた情報に基づき、最新かつ正確な情報をお届け。タイの文化、食、マナーまで、あなたのタイ旅行を安心で充実したものにする専門家として、信頼性の高い情報提供に努めています。
詳しいプロフィールは「コチラ」をどうぞ!
この記事でわかること
- 予算のメリハリ 航空券やホテルを工夫し、現地での食体験やマッサージに予算を回すことで満足度が上がります。
- ベストな移動手段 渋滞知らずのBTS/MRTと、明朗会計なGrabを使い分けるのが正解です。
- お金のマナー チップの相場や、現金が必要な場面(屋台など)を知っておくと焦りません。
- 通信と安全 eSIMで常にネットに接続し、海外旅行保険で万が一に備えることが安心への近道です。
- 服装と気候対策 寺院用の露出控えめな服と、冷房対策の羽織り物で快適に過ごせます。
- 水と衛生 水道水は飲まず、ミネラルウォーターを購入することで体調トラブルを防げます。
- 宿泊エリア選び 駅近ホテルを選ぶことで、暑い中での移動疲労を大幅に軽減できます。
- 現地の楽しみ方 高級ホテルがお得なバンコクならではの「ラグジュアリー体験」もぜひ検討してください。
👇このあとの目次から、気になる項目をすぐにチェックできます。ピンポイントで知りたい情報がある方は、ぜひ活用してください。
【2026年最新】タイ旅行の費用と予算の目安(3泊4日)
2026年のタイ旅行において、最も気になるのは「結局いくらかかるのか」という総額でしょう。円安や世界的なインフレの影響はありますが、タイは依然として、予算に応じた多様な楽しみ方ができる稀有な国です。ここでは、3泊4日の旅行を想定し、旅のスタイルごとの現実的な費用感と、日本との物価の違いについて解説します。ご自身のプランに合った予算をイメージし、安心して準備を進めましょう。

SNSや旅行ブログでの最近の傾向を見ると、航空券の早期予約やセールの活用で移動費を抑えつつ、現地での食体験やマッサージにはしっかりお金を使う旅行者が増えています。「昔ほど安くはないが、日本より満足度が高い」という声が多く、特に円安下でも工夫次第でコストパフォーマンス良く楽しめる点が評価されています。
スタイル別総額シミュレーション(節約旅・標準旅・贅沢旅)
旅の目的や快適さの基準によって予算は大きく異なります。以下に、航空券・宿泊費・食費・交通費・観光費を含めた1人あたりの総額目安(3泊4日)をまとめました。
- 節約派(バックパッカー・学生スタイル):約8万〜11万円
- 航空券: LCC(格安航空会社)のセール時期を利用。
- 宿泊: 清潔なゲストハウスやホステル(1泊3,000円〜)。
- 食事: 屋台やフードコート中心。ローカルな味が楽しめます。
- 移動: バスや電車を駆使し、徒歩も活用。
- 標準派(快適さとコスパのバランス重視):約13万〜17万円
- 航空券: LCCの受託手荷物付き、または日系航空会社の早期割引。
- 宿泊: 交通の便が良い3〜4つ星ホテル(1泊8,000円〜15,000円)。
- 食事: 地元で人気の食堂や、ショッピングモール内のレストラン。
- 移動: BTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)、配車アプリ〈Grab〉を併用。
- 贅沢派(リゾート・ホテルステイ満喫):約22万円〜
- 航空券: フルサービスキャリア(FSC)の直行便指定。
- 宿泊: リバーサイドの5つ星ホテルや高級サービスアパートメント。
- 食事: ルーフトップバーでのカクテルや、高級タイ料理店。
- 移動: 空港送迎車やタクシーをメインに利用し、快適さを優先。
今のタイ物価は高い?日本との比較
「タイの物価は日本の3分の1」と言われたのは過去の話になりつつあります。2026年現在、輸入品や観光客向けサービスは日本と同等か、それ以上の価格設定も珍しくありません。しかし、ローカルな生活圏では依然として割安感があります。
- 割安に感じるもの:
- タクシー初乗り: 35バーツ(約150円)〜。移動距離に対して非常に安価です。
- 屋台飯・水: ミネラルウォーターは1本10バーツ(約45円)程度、屋台の一皿は50〜80バーツ(約220〜350円)。
- マッサージ: 街中の一般的な店で1時間300バーツ(約1,300円)前後。日本の相場より遥かにお得です。
- 割高・日本と同等に感じるもの:
- 日本食: 大戸屋やCoco壱番屋などのチェーン店は日本より高い設定です。
- カフェ: おしゃれなカフェのコーヒーは1杯100バーツ(約440円)を超え、日本と変わりません。
- アルコール: ワインや輸入ビールは関税が高いため、高額になりがちです。
タイ旅行の費用の内訳と節約のコツ
旅費の大部分を占める航空券とホテル代をどう抑えるか、そして現地での食費や移動費をどう賢く使うかが、予算管理の鍵となります。ここでは、質を落とさずに満足度を高めるための具体的な選択肢と、それぞれのメリット・デメリットを整理します。時間を有効に使いながら、失敗を防ぐためのポイントを押さえましょう。

旅行者の多くが「LCCは座席が狭いが、浮いたお金でホテルのグレードを上げられたので満足」といった感想を持っています。また、移動手段に関しては「タクシーの渋滞で時間をロスしたため、電車(BTS/MRT)の方が確実だった」という失敗談も散見され、状況に応じた使い分けが重要視されています。
航空券:LCCとフルサービスの価格差と予約時期
東京(成田・羽田)からバンコク(スワンナプームまたはドンムアン)へのフライトは選択肢が豊富です。
- LCC(エアアジア、ZipAirなど)
- 費用感: 往復5万〜9万円(燃油・諸税込)。
- 特徴: とにかく安く済ませたい人向け。ただし、受託手荷物や機内食は有料オプションとなるため、追加料金を含めた総額で比較が必要です。
- 予約: セール時は驚くほど安くなりますが、変更・キャンセル不可の条件が多いため注意が必要です。
- フルサービスキャリア(タイ国際航空、ANA、JAL)
- 費用感: 往復10万〜16万円〜。
- 特徴: 機内食、ドリンク、受託手荷物が含まれ、座席も比較的ゆったりしています。深夜便や早朝便など時間の選択肢も多く、時間を有効に使いたい短期旅行者に適しています。
- 予約: 3〜6ヶ月前の早期予約(早割)がお得です。
ホテル:バンコクは高級ホテルが世界一お得?
バンコクは世界的に見ても、高級ホテルの宿泊費が割安な都市として知られています。日本では1泊10万円以上するようなラグジュアリーブランドのホテルでも、バンコクなら時期によっては3万円台から泊まれることもあります。
- 5つ星ホテルの魅力:プール、ジム、朝食ビュッフェの質が非常に高く、ホテルステイそのものが旅の目的になります。リバーサイドエリアやサイアム周辺のホテルは、観光の拠点としても便利です。
- 中級・ブティックホテル:1泊1万円前後でも、デザイン性が高く清潔なホテルが多数あります。BTSやMRTの駅から徒歩5分以内の立地を選ぶと、暑い中での移動負担が減り、快適に過ごせます。
食費:屋台(50THB)からルーフトップバーまで
食はタイ旅行の最大の楽しみの一つです。予算に合わせて自在に選べるのが魅力です。
- 屋台・フードコート(1食 200〜500円):最も安く、現地の熱気を感じられます。ショッピングモールのフードコート(Terminal 21など)は、屋台価格で衛生的かつエアコンが効いているため、初心者や家族連れにも大変おすすめです。
- カジュアルレストラン(1食 1,000〜2,500円):冷房完備の店内で、落ち着いてタイ料理を楽しめます。「ソンブーン」などの有名店でプーパッポンカリー(蟹のカレー炒め)を味わうのも良い思い出になります。
- ルーフトップバー(ドリンク1杯 1,500円〜):バンコクの夜景を一望できるバーは、ドレスコードがある場合も多いですが、特別な体験ができます。ハッピーアワーを利用すれば、少しお得に楽しめます。
交通費:BTS・MRT・Grabの上手な使い分け
バンコク名物の渋滞を避け、効率よく移動することが旅の充実度を左右します。
- BTS(スカイトレイン)・MRT(地下鉄):おすすめ: 時間が読めるため、日中の移動や主要観光地へのアクセスに最適です。料金: 16〜62バーツ程度。ラッシュ時は非常に混雑しますが、渋滞知らずです。
- Grab(配車アプリ):おすすめ: 荷物が多い時、駅から遠い場所へ行く時、複数人での移動。特徴: 行き先をアプリで指定でき、料金も事前に確定するため、タクシーのような料金交渉やぼったくりの心配がなく安心です。
- トゥクトゥク・タクシー:体験として乗るには楽しいですが、交渉制の場合が多く、観光客価格を提示されることもあります。メーターを使わないタクシーには乗車拒否をして、次を探すのが賢明です。
知っておくべき「隠れコスト」と「お金のマナー」
旅行予算を立てる際に見落としがちなのが、現地での税金やチップ、そして通信費などの「隠れコスト」です。また、日本とは異なるお金のマナーを知っておくことで、現地でのトラブルを回避し、気持ちよくサービスを受けることができます。初めてでも慌てないための基礎知識をまとめました。

「レストランの会計がメニュー表示より2割近く高くて驚いた」「チップを渡すべき場面で戸惑った」という声は少なくありません。また、最近では「現金の持ち合わせが足りず、屋台で支払えなかった」というキャッシュレス化過渡期特有の失敗談も聞かれます。事前の準備が安心につながります。
消費税(VAT)・サービス料とチップの相場
タイの表示価格は、場所によって「税・サ別」の場合と「込」の場合があります。
- レストランやホテル:メニューの価格に**VAT(付加価値税)7%とサービス料10%**が加算されることが一般的です。メニューの下部に「++(プラスプラス)」と記載があれば、税・サ別という意味です。会計時に約17%上乗せされることを想定しておきましょう。
- チップの習慣:厳格ではありませんが、感謝の気持ちとして渡すのがマナーです。
- レストラン: サービス料が含まれていない場合や、良いサービスを受けた場合に、お釣りの小銭や20〜100バーツ札をテーブルに残します。
- ホテル: ポーターに荷物を運んでもらった際やベッドメイクに対して、20〜50バーツ程度。
- マッサージ: 満足度に応じて、施術料金の10〜15%程度(50〜100バーツ)を施術者に直接渡すのが一般的です。
両替はいくら必要?現金 vs キャッシュレス事情
タイでもキャッシュレス化は進んでいますが、旅行者にとってはまだ現金が必須の場面が多々あります。
- 現金が必要な場所:屋台、市場、ローカルな食堂、トゥクトゥク、一部のタクシー、寺院の賽銭やお供えなど。
- クレジットカードが使える場所:ショッピングモール、コンビニ(最低利用額の設定がある場合あり)、ホテル、高級レストラン、BTSの改札(一部カードのみ)。
- 注意点:現地のQR決済(PromptPay)はタイの銀行口座が必要なため、旅行者は基本的に使えません。そのため、滞在日数×3,000〜5,000円分程度の現金(バーツ)は常に持っておくのが安心です。両替は空港よりも市内の両替所(SuperRichなど)の方がレートが良い傾向にあります。
通信費(eSIM/SIM)と海外旅行保険
安全で快適な旅の命綱となるのが通信環境と保険です。
- 通信手段:現在はeSIMが主流で便利です。日本にいる間に購入・設定でき、到着後すぐにネットが使えます。価格は数日間で1,000円〜2,000円程度。現地空港でSIMカードを購入することも可能ですが、混雑している場合があります。配車アプリGrabの使用や地図検索にネットは不可欠です。
- 海外旅行保険:タイの医療費は、私立病院の場合日本より高額になることがあります。クレジットカード付帯保険の条件(利用付帯か自動付帯か)を確認するか、掛け捨ての保険に加入することを強く推奨します。数千円の保険料で、数百万円のリスクをカバーできる「安心」を買うと考えましょう。
タイ旅行を賢く楽しむためのQ&A
旅の計画が大詰めになると、細かい疑問や生活面での不安が出てくるものです。ここでは、初めてタイを訪れる方が特に気になりやすいポイントをQ&A形式でまとめました。現地の習慣を事前に知っておくことで、トラブルを未然に防ぎましょう。
Q1. 水道水は飲めますか?
A. いいえ、絶対に飲まないでください。 現地の水道水は飲用には適していません。コンビニやスーパーで「ドリンキングウォーター」やミネラルウォーターを購入しましょう。500mlで10バーツ(約45円)程度と安価です。お腹が弱い方は、歯磨きの際もペットボトルの水を使うと安心です。また、屋台の氷も心配されがちですが、穴の開いた円柱状の氷(製氷業者が作ったもの)は一般的に安全とされています。
Q2. トイレにトイレットペーパーは流せますか?
A. 場所によりますが、備え付けのゴミ箱に捨てるのが基本です。 新しいショッピングモールや高級ホテルでは流せる場所が増えていますが、古い建物や地方では配管が細く詰まりやすいため、使用済みの紙は個室内のゴミ箱に捨てます。また、紙がないトイレも多いため、ポケットティッシュやウェットティッシュは常備しておきましょう。個室にあるハンドシャワー(ウォシュレットの手動版のようなもの)は、慣れると便利ですが、使用後は床が濡れないよう注意が必要です。
Q3. 夜の治安はどうですか?女性一人でも大丈夫?
A. 観光エリアは比較的安全ですが、油断は禁物です。 バンコクは世界的に見ても治安の良い都市ですが、スリや置き引きなどの軽犯罪は発生しています。特に夜間の繁華街や、人通りの少ない路地裏(ソイ)を一人で歩くのは避けましょう。また、知らない人に日本語で親しげに話しかけられても、ついて行かないのが鉄則です。基本的な防犯意識を持っていれば、女性一人旅でも十分に楽しめます。
Q4. 一年中暑いそうですが、長袖は必要ですか?
A. はい、薄手の羽織るものが一枚あると非常に重宝します。 外は汗ばむ陽気でも、電車(BTS/MRT)、ショッピングモール、映画館などの屋内は冷房が強烈に効いており、寒く感じることがよくあります。体温調節ができるカーディガンやパーカー、ストールなどをバッグに入れておくと快適に過ごせます。また、寺院観光では肩や膝が出る服装がNGとなるため、肌を隠す目的でも使えます。
Q5. 英語は通じますか?
A. ホテルや主要な観光地では問題なく通じます。 空港、ホテル、デパート、観光客向けのレストランでは英語が通じます。タクシー運転手や屋台の方には通じにくいことがありますが、スマホの翻訳アプリを見せたり、行き先をタイ語で表示した地図を見せたりすれば意思疎通は可能です。タイの人々は親切で、言葉がわからなくても身振り手振りで助けてくれることが多いので、笑顔でコミュニケーションをとってみてください。
まとめ:準備を整えて、最高のタイ体験を
2026年のタイ旅行は、円安や物価上昇の影響で以前のような「激安」感覚とはいかないかもしれません。しかし、LCCや公共交通機関を賢く使い、屋台グルメとちょっと贅沢なホテルステイを組み合わせることで、予算を抑えつつも満足度の高い旅は十分に可能です。
大切なのは、事前に「何にお金をかけ、何を節約するか」のメリハリを決めておくことです。そして、最低限の現金と通信環境(eSIMなど)、そしてマナーへの理解を持って現地入りすれば、タイは変わらぬ温かい微笑みであなたを迎えてくれます。
熱気あふれるバンコクの街並み、スパイシーで奥深いタイ料理、そして癒しのマッサージ。しっかりと準備を整えて、安全で思い出深いタイの旅を楽しんできてください。
