
毎年4月、タイ全土が水しぶきと熱狂に包まれるソンクラーン。これは単なる「水かけ祭り」ではなく、タイの旧正月を祝う最も大切な伝統行事です。街は解放感あふれるお祭りムードになりますが、初めて参加する方にとっては、「何を準備すればいいの?」「マナーはあるの?」「治安は大丈夫?」といった不安も多いはずです。
このガイドでは、2025年の公式情報に基づき、祭りの歴史から必須の持ち物、マナー、そして安全対策まで、初めてでも安心してソンクラーンを楽しめるよう、わかりやすい形で徹底的に解説します。現地の雰囲気を味わいつつ、失敗を防ぐための実用的な知識を身につけ、時間を有効に使って最高の思い出を作りましょう。

タイ国政府観光庁が認める「タイランドスペシャリスト」の資格を持ち、渡航歴50回以上、現地滞在10年以上を誇る「まさよし」が、本記事を執筆しました。長年の経験と現地で得た生きた情報に基づき、最新かつ正確な情報をお届け。タイの文化、食、マナーまで、あなたのタイ旅行を安心で充実したものにする専門家として、信頼性の高い情報提供に努めています。
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この記事でわかること
- 公式日程とエリア 公式祝日(4月13日〜15日)に加え、パタヤなど地域ごとの延長期間を理解し、時間を有効に使えます。
- ユネスコ文化遺産 ソンクラーンの「清めと敬意」の伝統を知り、より文化的な配慮を持って祭りに参加できます。
- 必須マナーの理解 僧侶や高齢者など、水をかけてはいけない5つの対象を把握し、文化的な失敗を防ぐことができます。
- 厳重な防水対策 スマホ・貴重品の二重防水と適切な持ち方がわかり、盗難や故障の不安を解消できます。
- 交通手段の選び方 規制エリア周辺でBTSやMRTを優先するノウハウを知り、移動の効率化を図れます。
- 服装と持ち物 透けない速乾性の服と保護メガネの準備リストを確認し、安心して水かけに飛び込めます。
- 治安・防犯対策 祭りの熱狂に潜むスリの具体的な手口と予防策を知り、旅行の安全性を確保できます。
- Q&Aによる最終確認 水質や観光地の営業状況など、直前の疑問を解消し、準備万端で臨めます。
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ソンクラーン(水かけ祭り)とは?旧正月と伝統的な意味

ソンクラーンは、タイのカレンダーにおいて新年の始まりを意味します。この章では、なぜ水をかけ合うのかという伝統的な背景と、祭りが持つ深い文化的意味を理解することで、単なるお祭り騒ぎではない、タイの人々の敬虔な心に触れることができます。

多くの旅行者がソンクラーンを「世界で最も熱狂的な水遊び」としてSNSで目にし、その楽しさに期待して訪れます。しかし、現地で仏像へ静かに水を注ぐ儀式や、家族で過ごすタイの人々の姿に触れ、「単なる水かけではない、大切な旧正月のお祝いなのだ」と気づき、より深い文化理解を得る傾向があります。一方で、マナーを知らずに僧侶や食事中の人に水をかけてしまい、戸惑うケースも散見されるため、事前の知識習得が、文化的な配慮を持って楽しむ上で不可欠とされています。
ユネスコ無形文化遺産に登録された背景
ソンクラーンは2023年に「ソンクラーン、タイの伝統的なタイ正月」としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。この登録は、水をかけ合う行為が単なる遊びではなく、新年の到来とともに過去の厄を洗い流し、清めるというタイ古来の信仰と、家族や年長者への敬意を示す伝統的な儀式であることが世界的に認められた結果です。この背景を理解することで、水をかけられた際にも「清められた」と受け止め、より温かい気持ちで参加できるでしょう。(2025年4月時点)
なぜ水をかけ合うのか?「清め」と「敬意」の伝統
ソンクラーンの起源は、もともと仏像や年長者の手に香りのついた水を静かに注ぎ、新年の祝福と健康を祈る「水かけの儀式(ロー・ナム・ダム・フア)」にあります。これが時代と共に発展し、暑季の暑さも相まって、現在のような大規模な「水かけ祭り」になりました。しかし、根底にあるのは**「清め」と「敬意」**の精神です。水をかけ合うことで互いの厄災を払い、幸福を祈り合う行為は、現地の雰囲気を理解し、お互いに心から楽しめる秘訣です。
ソンクラーンの日程と地域別イベント期間

ソンクラーンの日程は、旅行計画において最も重要な情報です。この章では、タイ全土の公式祝日と、特に人気の高いバンコク、チェンマイ、パタヤの主要イベント期間を明確にし、あなたの時間を有効に活用できるエリア選びのヒントを提供します。

旅行者は、公式な祝日である4月13日から15日を軸に計画を立てがちですが、実際には主要な水かけエリアでは数日前から盛り上がり、またパタヤのように独自の延長日程を持つ地域があることに驚きます。特に、バンコクのシーロムやカオサン通りなどのイベントは交通規制が敷かれ、周辺の移動が極めて困難になるため、「事前に計画したエリアに確実にたどり着けるか」という移動の不安を感じる声が多く、公共交通機関の利用計画の重要性が強調されています。
4月13日〜15日の公式祝日と各地のイベント期間
タイのソンクラーンにおける公式祝日は、毎年4月13日(日)から15日(火)の3日間です。(変動することあり)。ただし、バンコクのカオサン通りやチェンマイの旧市街など、主要な観光エリアでは、この期間よりも長くイベントが開催されるのが一般的です。特に大規模なイベントは祝日前に始まったり、祝日明けまで続く場合があるため、旅行期間全体を通じて現地の雰囲気を楽しめるよう、事前に公式情報を確認することが重要です。
バンコク・チェンマイ・パタヤの主要開催地と特徴比較
| 都市 | エリア名 | 特徴 | 盛り上がり |
| バンコク | シーロム通り | BTS駅直結でアクセス抜群。大規模な歩行者天国で若者中心の熱狂的な水かけ。 | 非常に熱狂的 |
| バンコク | カオサン通り | 世界中からのバックパッカーが集う。外国人旅行者が多く、昼夜問わず賑わう。 | 熱狂的 |
| チェンマイ | 旧市街・お堀沿い | 伝統的な儀式と水かけのバランスが良い。伝統を重んじる地元住民が多い。 | 文化的、賑やか |
| パタヤ | ビーチロード(ワンライ) | 公式祝日から約1週間後(4月19日ごろ)に大規模なクライマックスを迎える。期間が最も長い。 | 非常に熱狂的 |
初心者におすすめのエリアの選び方
初めてでも楽しめるエリアとして、バンコクのシーロム通りはBTSサラデーン駅でアクセスが容易なため、移動の失敗を防ぐことができます。また、カオサン通りは観光客が多く、熱狂的な水かけを体験しやすいでしょう。もし、伝統的な文化に触れたい場合は、チェンマイの旧市街がお薦めです。どのエリアも混雑するため、時間を有効に使うためにも、イベントが開始される午前中に到着するよう計画するのがおすすめです。
ソンクラーンでトラブル回避!必須のマナーと安全対策

ソンクラーンの熱狂に飛び込む前に、必ず知っておきたいのがマナーと安全対策です。文化的な配慮を怠ると、予期せぬトラブルにつながりかねません。この章で必須の知識を身につけ、安心して現地の雰囲気を心から楽しめるようにしましょう。

多くの旅行者が「水をかけられて怒らない」ことは知っていますが、水をかけてはいけない人の存在を深く理解していないことが多いです。特に僧侶や高齢者への水かけは、文化的に非常に失礼にあたるため、旅行者によるマナー違反の報告は後を絶ちません。また、水かけの熱狂に乗じたスリや盗難の被害も多発しており、「防水ケースは首から下げ、肌身離さず持つ」という具体的な防犯行動の重要性が強く語られています。
【重要】水をかけてはいけない5つの対象とマナー(僧侶・高齢者など)
水をかけ合うのは清めの行為ですが、すべての人にかけて良いわけではありません。特に以下の人々への放水は厳禁です。
- 僧侶(オレンジの袈裟を着た方): 僧侶への接触はもとより、水をかける行為は厳に慎むべきです。
- 高齢者・妊婦・病人: 身体的な負担を考慮し、避けるべき対象です。
- 警察官や軍人など制服を着た公務員: 職務遂行中の人への水かけは控えるべきです。
- 食事中やバイク・車を運転中の人: 食べ物を汚したり、交通事故を誘発したりする可能性があります。
- 王室関連の建物や重要文化財: 敬意をもって接し、水かけの対象外とします。
また、水をかけられたら、笑顔で「サワッディーピーマイ(明けましておめでとう)」と返しましょう。怒ることは最大のマナー違反です。
氷水や粉はNG?トラブルを招く危険行為リスト
近年、ソンクラーンで氷水や高圧水鉄砲、泥灰土(ディンソーポーン)を混ぜた水をかける行為が問題視されています。氷水は衝撃や体温低下を招き、高圧水鉄砲は目に当たると危険です。また、泥灰土を塗る行為は伝統的なものですが、近年は悪質な目的(スリの目印など)で使われることもあるため、基本的に避けるのが賢明です。タイ国政府もこれらの危険行為を規制・禁止する動きを強めているため、安心して楽しむためにも、常識の範囲内で水遊びをしましょう。
祭りの熱狂に潜むスリ・盗難の予防策と防犯グッズ
ソンクラーン期間中、人の密集するエリアではスリや盗難が多発します。スマホ、財布、パスポートなどの貴重品は、以下の方法で失敗を防ぐように徹底してください。
- 防水対策の徹底: 貴重品は高品質な防水ケースに入れ、首から下げ、常に体の正面で管理する。
- 荷物は最小限: できるだけ現金やカードは持ち歩かず、必要最低限のものだけを防水バッグに入れる。
- リュックは避ける: 背中側に貴重品を入れるリュックは狙われやすいため、ボディバッグなど体の前で抱えられるものが推奨されます。
- パスポートはコピーを: パスポート原本はホテルの金庫に保管し、代わりにコピーやスマホ内の画像を持ち歩きましょう。(2025年4月時点)
びしょ濡れを楽しむための服装・持ち物・防水対策リスト

ソンクラーンは、文字通り「びしょ濡れ」になるお祭りです。この章では、快適かつ安全に水かけに参加するための服装選びと、特に重要な防水対策について、経験者の知恵と公式情報を交えてわかりやすいリスト形式でご紹介します。

「服装はすぐ乾くもので」という情報は広く知られていますが、実は「白っぽい服は水に濡れると透ける」という点を見落とし、現地で困惑するケースが多いです。そのため、水着の上に速乾性の濃い色のTシャツやアロハシャツを着るという対策が集合知として推奨されています。また、スマホの防水ケース選びでは「安物で浸水し、写真を失った」という失敗談も多く、「信頼できるメーカーの二重ロックタイプ」を選ぶことが失敗を防ぐための最重要ポイントとされています。
服装:速乾性の素材と濡れても良い靴の選び方
- トップスとボトムス: ポリエステルやナイロンなどの速乾性素材を選びましょう。白や薄い色の服は避けるか、中に水着やラッシュガードを着用し、透け対策を徹底してください。
- 靴: 完全に濡れることを前提に、サンダルやビーチサンダルが最も適しています。スニーカーは乾きにくく、靴擦れや体調不良の原因になります。また、混雑時に脱げないよう、ストラップ付きのものが安心です。
- その他: 帽子は顔の日焼け防止に役立ちますが、水に流されないよう注意が必要です。
貴重品とスマホを守る「厳重防水」の徹底ガイド
スマホやカメラの故障は、せっかくの思い出を失うことにつながります。以下の対策で失敗を防ぐことが重要です。
- 二重の防水ケース: スマホや財布は必ず二重構造やロック機能が確実な防水ケースに入れましょう。100円ショップの製品は危険です。
- 貴重品の持ち方: 防水ケースは首から下げ、さらに上からTシャツなどを着て、外から見えないようにするとスリ対策にもなります。
- 現金: 少額の現金(紙幣)は、ジップロックなどのビニール袋に入れて防水ケース内のさらに奥に入れるなど、徹底した対策が必要です。
現地で手に入るおすすめの水鉄砲と選び方
水かけ祭りの期間中は、主要なイベントエリア周辺の露店やコンビニエンスストア(セブンイレブン、ファミリーマートなど)で水鉄砲が大量に販売されます。
- 小型・中型がおすすめ: バケツやドラム缶のような強力な水鉄砲は、水を入れるのが大変で移動の邪魔になるため、初心者は中型(背中にタンクを背負うタイプ)が時間を有効に使えます。
- 水鉄砲の種類: 比較的安価なものから、高圧で遠くまで水が飛ぶ本格的なものまでありますが、周囲の参加者との公平性や安全を考慮し、あまりに強力なものは避けるのがマナーです。
ソンクラーン期間中の移動・交通手段の注意点

ソンクラーン期間中、主要イベントエリアの交通は大きく規制され、通常の移動が困難になります。この章では、公共交通機関を賢く利用し、タクシー利用時の失敗を防ぐための具体的なノウハウを提供します。

ソンクラーンの週末は、特にバンコクのシーロム、カオサンといったエリア周辺で、タクシーやGrabの乗車拒否や、異常な高額料金(ぼったくり)の報告が急増します。そのため、「普段はタクシー利用でも、この期間はBTS(スカイトレイン)とMRT(地下鉄)を徹底的に使うべき」というのが、経験者の一致した見解です。また、BTS駅の改札付近も濡れる人が多いため、「改札を出る直前まで防水対策を外さない」という行動が推奨されています。
交通規制エリアと公共交通機関(BTS・MRT)の活用法
イベント期間中は、シーロム通りやカオサン通り周辺など、主要な水かけエリアが歩行者天国となり、車両の通行が規制されます。
- BTS・MRTの活用: この期間はBTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)が最も時間を有効に使える、安心かつ確実な移動手段です。ただし、駅構内や車両内では水かけ行為は厳禁です。
- 水濡れ対策: BTSやMRTの駅の出入口付近には、濡れた人々が多く集まります。改札を出る直前まで、貴重品の防水対策を維持し、濡れた身体で構内に入らないよう水滴を拭き取るなどのマナーを守りましょう。(2025年4月時点)
タクシー・Grabの「ぼったくり」回避と賢い使い方
ソンクラーン期間中、タクシー運転手がメーターを使わず、交渉による高額料金を提示する**「ぼったくり」**が増える傾向があります。
- 乗車拒否と料金交渉: 交通規制と混雑を理由に乗車拒否されたり、通常の数倍の料金を要求されることが予想されます。
- Grabの利用: Grab(配車アプリ)を利用する場合も、通常の料金に比べて**割増料金(サージ料金)**が適用されることが多くなります。乗車前に必ず料金を確認し、納得した場合のみ予約しましょう。
- 賢い使い方: イベントエリアから少し離れた、規制のないエリアまでBTSなどで移動し、そこからGrabを利用するなど、一工夫することで失敗を防ぐことができます。
よくある質問(Q&A)

ソンクラーン参加者が抱く、より具体的な疑問や、直前での最終確認に役立つ実用的なQ&Aをまとめました。これらの情報を確認することで、初めてでも安心して、より時間を有効に使えるようになります。
Q1. 水かけに使う水はどこから調達するのですか?衛生面は大丈夫ですか?
A. イベントエリア周辺の露店や、地元の人がバケツで販売している場所から調達するのが一般的です。衛生面では、水道水や店舗から提供される水であれば概ね問題ありません。しかし、側溝や汚れたプールなどの水を使う人もいるため、顔や口に入れないよう、特に注意してください。保護メガネの着用は、失敗を防ぐためにも強く推奨されます。
Q2. ソンクラーン期間中、寺院や王宮などの観光地は開いていますか?
A. 寺院や王宮、主要なショッピングモールなどは、通常通り、あるいは短縮されたスケジュールで営業していることが多いです。ただし、祭り期間中はタイ国民も家族と過ごすため、一部の店舗や個人経営の飲食店は休業する場合があります。また、水かけエリア周辺では移動そのものが困難になるため、観光の際は移動時間と体力消耗を考慮に入れる必要があります。
Q3. 高齢者や子どもと一緒に楽しむ方法はありますか?
A. 高齢者や小さな子ども連れの場合、熱狂的な水かけエリア(シーロム、カオサンなど)は避けるのが賢明です。アイコンサイアム周辺などの家族向けイベントや、静かな仏教儀式が中心となる郊外の寺院などで、伝統的なソンクラーンの側面を楽しむことができます。安心して楽しむために、水かけに参加する場合は体調管理を徹底し、疲れる前に切り上げましょう。
Q4. 水をかけられても怒ってはいけないのは本当ですか?
A. はい、本当です。ソンクラーンで水をかけ合う行為は、新年の清めや祝福を意味します。怒ったり、嫌な顔をしたりするのは最大のマナー違反とされています。「マイペンライ(大丈夫、気にしない)」の精神で笑顔で受け止めれば、現地の雰囲気に溶け込み、誰もが初めてでも楽しめることができます。
Q5. ソンクラーンに参加する際、最低限用意すべき「必需品」は何ですか?
A. 最低限必要なのは以下の3点です。
- 防水ケース(首下げ式): スマホ、現金、カードを保護し、失敗を防ぐ最重要アイテム。
- 速乾性の服と濡れても良い靴: 衛生面と体調管理に直結します。
- 保護メガネまたはサングラス: 氷や不衛生な水から目を守り、安心して水かけに参加できます。
まとめ:ソンクラーンは「清めの精神」で満喫する
タイの旧正月ソンクラーンは、世界でも類を見ない熱狂と歓喜に包まれたお祭りです。しかし、この祭りが単なる水遊びではなく、厄を洗い流し、新年の幸福を祈る「清めの精神」に基づいていることを理解すれば、マナーを守りながら、より深い感動と現地の雰囲気を味わうことができます。
2025年の公式日程と主要エリアの特徴を把握し、厳重な防水対策とスリ対策を徹底することで、初めてでも安心して失敗を防ぐことが可能です。このガイドで得た知識を活用し、水しぶきの中でタイの人々と笑顔を交わし、一生忘れられない思い出を作ってください。

